良いセンス?
1997年3月12日 デンマーク王立美術アカデミー デザインスクール(DKDS) ナナ・ディツェル講演
“ “すでに世の中に定着している『既成の美意識』に、わざわざ迎合する必要はありません。それは十分に広く受け入れられ、確かな地位を築いているのです。私たちがすべきなのは、想像力と創造性、そして社会に対するビジョンをもって、自らが信じるものと、それにふさわしい環境を生み出すことです。” ”
ナナ・ディッツェル
その時代を支配するGood tasteは、様式や流行とよく似ています。多くの場合、それは現状への反発として生まれた、力強く革新的な仕事から始まります。やがて最初の衝撃が薄れると、新しい表現は社会に取り入れられ、大衆化され、広く受け入れられるかたちへと変わっていきます。私たちがそれを望むかどうかにかかわらず、この循環は繰り返されます。
だからこそ、デザイナーである私たちが確かに言えることがあります。
いまGood tasteとされているものに、私たちまで従う必要はありません。それはすでに広く行き渡り、十分に幅を利かせているのです。
むしろ私たちは、想像力と創造性、そして社会に対するビジョンをもって、自分が本当に信じられるもの、自分が暮らしたいと思える環境を生み出さなければなりません。
その表現は、それぞれの気質に合ったもので構いません。厳格で慎ましいものを選ぶ人もいるでしょう。でも私は、楽しく、祝祭的であってもよいと思います。華やかさや、少し大げさなくらいの美しさも、決して嫌いではありません。
そして私たちには、素晴らしい可能性があります。
紙と鉛筆を手に取ること。あるいは、自分が選んだどのような道具でも構いません。
それを使って、この多様な世界にまだ存在していないものを思い描き、かたちにすることができるのです。
ポール・ヘニングセンをはじめとする先人たちから、私たちはGood tasteほど始末に負えないものはないと教えられてきました。ですから、このGood tasteというものについて、果たして誰かが何かよいことを言えるのか、興味があります。
Good tasteのあり方は、時代や場所によってさまざまに変化します。しかし本質的には、ある時代の、ある社会や環境において受け入れられている規範のことです。その規範に忠実に従い、巧みに表現するほど、Good tasteと評価されます。
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